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2003.10.31

自分に適用されない方法論?

子安宣邦さんの『日本近代思想批判―一国知の成立―』(岩波現代文庫)は、1996年に同氏が書かれた『近代知のアルケオロジー』の増補版です。

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同書は、戦前の知識人から戦後思想までを論じていて、小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性』と相補的に読むのによいかもしれません。僕の守備範囲でいえば、「Ⅱ他者への視線 第一章 近代知と中国認識-「支那」学の成立をめぐって-」あたりは特に気になります。
しかし、ぱらぱらと読んだかぎりでは、問題あるようです。

例えば「Ⅳ歴史表象と記憶 第一章 〈隠蔽〉と〈告発〉の間-戦争の記憶と戦後意識-」では歴史教科書問題、「南京大虐殺」は実際にあったかどうかをめぐる議論を行い、そこで日本側の大虐殺はなかったという主張に潜む問題を明らかにしていますが、そこで終わってしまっていることで、左翼的党派性をもって議論しているに過ぎないという印象を与えてしまいます。方法論にこだわって、知識人の知の権力行使を問題にするのであれば、返す刀で中国側の誇大広告戦略をもぶった切るべきでしょう。双方に潜む問題を明らかにしなければ、結果として政治的な議論として機能してしまうというのに、著者自身が自身の立場を特権的に保護してしまっているのか、それとも学術的な議論よりも政治的な立場の方が大切なのか、そこをないがしろにしています。

このあたり、小熊さんも同じ問題を抱えているようです。現代思想をやっている人間はサヨク、みたいなレッテル貼りに抗せないような立ち位置をとるのは、実際のところがどうであれ、学問としても脇が甘いということになるのではないでしょうか。

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2003.10.30

李登輝さん推薦の本

僕の職場の親分が李登輝さんと会ったときに推薦された本の一つが、この『中国人の歴史観』だそうです。

中国人の歴史観 表紙

中国の外交手腕については、その巧みさが言及されることが少なくないわけですが、そこを彼らの歴史観から読み解くというスタイルのようです。周りでも評価が高いです。
でも僕も注文しているところで、未読です。

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2003.10.29

オンライン漢語辞典

台湾の教育部(日本でいう文部科学省)がオンラインで無償公開している国語辞典は、漢籍を読むときにけっこう便利に使える辞典です。台湾では辞典というと古典方面の方が強く、あまり現代語が反映されてなくて、困ることがままあるんですが、漢籍を読むときにはかえって重宝します。もちろん日本語訳が載っていない、言ってみれば漢-漢辞典なんですが、特に中国語力が必要というわけでもないと思います。

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2003.10.28

フレンチバーベキュー店『ヴァンピックル』

有楽町から丸の内にかけて地下を徘徊していて見つけたお店の一つがこのヴァンピックルです。バー風の店舗を外から覗いたら、お店中央にブタさんが一頭まるっと鎮座ましましてたので、うわぁと惹かれて入ってしまいました。
フランス風炭火焼き、というよく分からないスタイルですが、味はGooood!でした。また行きます。

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2003.10.27

博士論文提出

無事、学位請求論文を提出できました。黒ハードカバー金文字です。おお。
ちなみに論文題目は「中国近世道教における錬金術の研究」だったりします。
目次は以下の通りです。

序章 本研究の方法と視座
第一章 道教錬金術とその内面化
第二章 錬金術としての禅仏教
第三章 信仰世界における宝珠のモチーフ
第四章 宝珠信仰の錬金術的展開
 第一節 翁葆光の内丹節にみる三教観
 第二節 趙友欽の内丹説にみる三教観
第五章 道仏混淆の身体神信仰
第六章 元始天尊神話と錬金術
 第一節 『度人経』の錬金術的解釈
 第二節  陳致虚の『度人経』解釈
終章 心性史としての道教錬金術研究

これがスタートだと指導教授の先生には言われましたが、まさにその通り、問題山積みであまり肩の荷が下りた気がしないです。もっともっと勉強しないといけないなあというのが、正直な感想です。

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2003.10.26

『フレディvs.ジェイソン』

いや、見てきましたよ、『フレディvs.ジェイソン』。二大怪獣湖畔の対決でした。心臓強くないので、何度か驚かされましたが(パターンがわかっててもダメなんです。。。)、基本的につっこみどころ満載で、いやあもお笑わせていただきました。
でも僕と友人の二人しか笑い声が聞こえませんでしたね。みんなマジメに恐がりに来てたんでしょうか。
も一つ笑ったのが、トムクルーズ『ラストサムライ』の予告篇です。「囚われの身のなか」「男に目覚める」「サムライスピリッツ」!ときて、トムが鎧来て刀振りかざし、鉄砲隊に突っ込んでくんですから。
いや絶対見に行きます。でも最近のへたれ時代劇に比べてよほど活劇してくれそうで、そこが胸中複雑ではあります。

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2003.10.25

日経文化面で老子の記事

日本経済新聞10月15日朝刊の文化44面に、「老子の思想は老いず」と題された、老荘思想に関する記事が掲載されました。何でも加島祥造さんの『タオ―老子』が人気だそうです。
記事では同書の紹介にとどまらず、学術研究方面の最近の動静もレポートしています。僕の先生や研究会の仲間も登場しています。どちらかといえばそっちで紹介されている「シリーズ道教の世界」(春秋社)の方を強くおすすめします。おもしろいですよ~。
英米文学者で詩人の加島さんは、「漢文ではわからなかった老子の自由な発想」をアーサー・ウェイリーによる英文訳老子を読んで感じたそうで、まあそうかもと思う反面、漢文というものが教養として共有されなくなっている、一つの例だなとも思います。この本の読者にもっと漢文を学べと言ってもダメでしょう。責任は漢学者の方にあるんじゃないでしょうか。

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2003.10.24

らーめん屋『万豚記』

『紅虎餃子房』などのチェーン展開をしている際グループの、担々麺が売りの中華料理店チェーンが、
万豚記』です。最近六本木にも支店が出来たのでお昼をそこで食べました。濃い味付けのスープが細麺によく合います。

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2003.10.23

古典への注釈作法

漢籍の現代語訳をつくるときに、そのテクストだけではよく意味がとれない状況はままあります。その理由は文章が難しいとかだけではありません。文字に脱落があったりと読み手の関知するところではない理由で読めない場合があるのです。
そんな場合、注釈をつけて翻訳を助けます。先行研究の助けを借りたり、他のテクストをもってきて合わせ技で読んだりするわけですが、そこにも一定の作法があります。でもそういった作法はあんまり明文化されてないように思うし、試みに書いてみようかと思います。

まず基本姿勢として、先行する他の研究を元に原文を読む場合は、先行する研究が扱っている文献(もちろん後代の注釈ではなく、同時代資料とみなしうるもの)と、目の前のテクストが相似していないといけません。畢竟、注釈部分において、類似テキストを挙げ、だからこう訳したと述べるというのが基本作業でしょう。
もし、テクストが類似していないのなら、実は違う内容のテクストである、という可能性、もしくはこのテクストにより既存の解釈が変更される可能性、を想定すべきでしょう。つまり目の前のテクストを素直に読んでみる=逐語的に訳し、その範囲での解釈を、有効性に限界があると知りつつも、試みる、という行為をしなくてはならず、そうした上で先行研究を引用し、それらと内容が違うのであれば、そこに目の前のテクストの特殊性が出てくる可能性があるわけです。

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2003.10.22

江戸前寿司店『築地市場 松葉寿し』

営団南北線六本木一丁目駅出口の『築地市場 松葉寿し』は、マグロが売りの寿司屋さんです。鮪づくし1,600円は、十分満足できるおいしさでした。
2カン200円の立ち食い店も併設。お昼御飯にはちょうどいいかも。

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2003.10.21

アイドルのために密入国?

東京新聞10月19日の朝刊に、「日本漫画ドラマ化 台湾から“逆輸入”」という記事がありました。BS日テレで放送中の『流星花園』の紹介です。このドラマは人気少女マンガ『花より男子』が台湾で実写ドラマ化されたもので、主演の男性アイドルは原作にちなんだ名前「F4」でユニットとしてデビューしてしまいました。
こういった情報は既知のことだったんですが、記事によると、何でもそのF4会いたさに、中国大陸の女の子が密入国しようとした、とか。うーん、緊張の中台関係も形無しですね。
政治的思惑をこうした私的なところから切り崩していく、というのは最近論じられていますが、これははまりすぎの実例ではないでしょうか。

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2003.10.20

AERAで仏教特集

AERA10月27日号で、「仏教に浸る 空前のブームが日本を覆う」「きもちいい仏教に魅せられる人たち」といった記事を読みました。高村薫・中沢新一・宮崎哲弥・養老孟司・梅原猛などからちょこちょこコメントを取ってきているんですが、何だかな~といった内容でした。ようするに既存の仏教はダメで、「原仏教」なるものを求めて宗教的な信仰心を回復しましょう、ということなんですが、ええと、そういう考え方自体がすでに信仰から乖離してるのではと思います。
それにしても、みなさん都会っ子なんでしょうか。僕は故郷が山陰地方なんですが、小学生の頃お寺の子供会とかに参加して、よくお経読んだりしたし、おばあちゃんのおつかいで写経にいったりとか、生活の中にまあまあ自然に仏教ありました。宗教信仰みたいなどろっとしたものは、時代の違いだけでなく地域格差によっても生じるものではないでしょうか。地縁血縁の薄い濃いが重要な要素だと思います。
現代人は~とかしたり顔で言われると、田舎者の僕は何時の時代の人間なのかと思ってしまいます。もっと低い目線から世間を見た方がよいんじゃないでしょうか。

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2003.10.19

中国文学研究と『〈民主〉と〈愛国〉』

小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性』は、「太平洋戦争に敗れた日本人が、戦後いかに振舞い思想したかを、占領期から70年代の「ベ平連」までたどった」もので枕になるくらい厚い研究書です。

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平成の世に中国哲学を研究している人間にとって、日本のことだし、昔のことだし、あんまり関係ないな、とこの間までは思っていました。が、ところがどっこい、関係は思いの他深いのでした。

そもそも哲学文学を問わず中国学の先駆者たちは、戦前は大東亜共栄圏という思想を学術的に後押ししたり、戦後は共産主義中国の立場を顕彰したりと、政治的に忙しい人たちが少なからずいたわけで、研究史をふまえようとすれば、その問題を避けては通れないはずです。
小熊さんの本も、中国学の分野から見過ごせない人物が主要な思想家の一人として登場します。竹内好と魯迅です。
僕の仲間が国語教育における魯迅という問題を研究していますが、こういった日本近現代思想史の文脈に位置付けうる、かなり刺激的なテーマといえます。仏教研究の分野では、こういった研究を行っている人がすでに何人かいますが、中国学の分野ではまだあまりいないように思います。

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2003.10.18

江川達也と電波な人々

雑誌「サイゾー」で、現在漫画家の江川達也さんがマンガエッセイ「江川式勉強法」を連載されています。妄想の世界に生きる電波な人にならないための勉強法を紹介する、というかなりそれはそれであれじゃない?といった内容です。
2003年11月号では「小林よしのりの読み方」として、小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』が人をダメにする訳を読み解かれてます。批判の内容自体、とりたてて目新しいものではないですが、同業者でしかもバリバリ現役の江川さんによる批判である、というのはおもしろいです。他にも、藤子不二雄さんや宮崎駿さんの作品まで、妄想を助長して電波人間を育成する毒だと言い切ってます。うーん、すごい。

しかし、江川さんのいらだちも分かんではないですが、そういった毒はマンガアニメやカルト新興宗教が世に出るよりも昔からあったし、そういった毒を必要としていた人たちもいました。それを正しく勉強すれば大丈夫というのは、実効性のない教条主義的発想でしょう。
まあ弱者の傲慢さもいただけないですが、強者の無神経さもどうかと思います。
個人的には、魔夜峰央『ミーちゃんのアチャラカ月報』の方がおもしろかったりして。

あと、山形浩生さんの「山形道場」は最低立ち読みしてます。

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2003.10.17

イタリア料理店『LA VERDE』

LA VERDEの有楽町店で夕御飯を食べました。パスタもピザもおいしくてボリュームたっぷりでした。イタリアの食材を輸入している会社の経営だからでしょうか、生ハムとかも値段安かったような。
しかし2人分の胃袋では堪能することができませんでした。再戦するしかないです。

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2003.10.16

最強のオンライン漢籍目録

最近は日本でも全国漢籍データベース協議会が立ち上がり、機関間の横断的なオンライン目録の構築が目指されています。大学図書館の統合目録であるWebcatもUnicode対応により使える漢字の幅がぐっと広がりました。とはいえ、こうした電子化の取り組みに関しては台湾に一日の長があります。

台湾中央研究院の図書館OPACの充実度はさすがです。大規模叢書、僕の専門でいえば、『道蔵』『道蔵輯要』『蔵外道書』はいうにおよばず、『四庫存目叢書』などに収録されてる個々の典籍をさくさく調べてしまえるのです。もちろん授業での発表ぐらいなら台湾に見に行くなんてできませんが、叢書自体ならそれこそWebcatのお世話になればどの大学が所蔵しているか調べるのはたやすいでしょう。裏技とまではいかないですし、コンテンツが充実していればこそ、でもありますが、大学図書館の目録も所蔵調査以外にこんな便利な利用法があるわけです。

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2003.10.15

お好み焼き屋『ぼてぢゅう』

東京駅散策シリーズ、です。
関西風お好み焼きチェーンのぼてぢゅう八重洲地下街店に行ってきました。自分で焼くのも楽しいですが、ここでは焼き上がったものを出してくれるので、気軽に食べたいときはよいです。お好み焼きってたまに無性に食べたくなる食べ物の一つではないでしょうか。

八重洲地下街店だけ?の電子割引券もあるようです。使ったことないですけど。

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2003.10.14

六本木ヒルズで映画鑑賞

六本木ヒルズ、職場が六本木の割にはまだ探検をほとんどしてません。それでも映画はもう2本、『マトリックスリローデッド』と『座頭市』を見ました。ヒルズの映画館ヴァージンシネマズ六本木は新しいだけあって、スクリーンの大きさだと有楽町の日劇には負けちゃいますが、椅子はゆったりしてて気分良く見れます。
 うれしいのはネット予約を定価の1,800円でとれることです。リーズナブルです。ちょっとこまるのは、見た後の食事やお茶でしょうか。迷うし、人並んでるしで。。。


ちょっと早めに行って、鬍鬚張魯肉飯のテイクアウト店でお弁当を買って、館内持ち込みとかするのも手かもしれません。持ち込みできたかしらないですけど。

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2003.10.13

『事典 哲学の木』

事典 哲学の木』は必携の哲学事典です。

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帯の売り文句「いま考えられる再考の執筆陣」って本当だと思います。昨年3月に出版されてます。最近またつまみ読みしましたが、やっぱりよいです。まだ買ってない人は今すぐ買いましょう。

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2003.10.12

台湾料理店『珎々亭』

JR日暮里駅の北口を出て、山手線の内側、谷中銀座の方へ歩いて少しのところに、この珎々亭はあります。ぱっとみ普通の中華料理店で、メニューもまあ値段は安めだけど、内容は普通っぽい、台湾~と銘打ったメニューもあるけど、ちょっと前流行った台湾小皿料理ブームに遅ればせにのっただけ、とも思わせますが、実はけっこう濃い店なのです。

谷中に寄ることがあれば是非どうぞ。定休日水曜日です。
僕も最初は単に近所だからという以上の理由で行ってるわけじゃなかったのですが、オリジナルメニューの「サーティライス」を食べて、あ!と気付いたのです。これ沙茶醤という中華調味料で炒めた肉野菜をごはんのうえにぶっかけてるんですが、この沙茶醤、台湾ではよく使うのです。「サーティ」とは「沙茶」の閩南悟読みですし、これはもう戦後台湾から引き揚げた人が始めたとしか思えません(ホントか?)。実際、この他にも台湾~とついてない料理の中に、向こうの匂いがぷんぷんするものがあるんです。蝦巻揚げはもちろん蝦巻、茹豚バラ肉のニンニク醤油合えは蒜泥白肉、のことでどっちも僕が好きな料理なんですが、日本ではなかなか出会えないんです。

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2003.10.11

参考文献としてのデータベース

論文の参考文献に辞書を引かないのがお約束だ、と教わったことがあり、そんなもんかと思ってましたが、いろいろと勉強していくうちに、辞書によりけりだということも教わりました。例えば、諸橋大漢和辞典はNGだけど、望月仏教大辞典はOK、みたいなです。

では、全文データベースはどうなんでしょう。辞書とは、すでに存在するテキストの中から用例を抽出して、言葉の解釈を行うものです。論文を書くにあたって辞書を参考文献として認めるかどうかは、その用例の抽出と言葉の解釈の部分を先行研究としてどの程度評価するか、という判断に帰するといえるでしょう。
全文データベースの場合、用例の抽出も言葉の解釈も利用者が行うわけです。だから参考文献として引用する必要はない、と考える人もいるようです。つまり先行研究として評価しない、という態度になるわけです。しかし、これは正当な評価でしょうか。

たとえば、中央研究院の漢籍電子文献や『四庫全書』データベースクラスになればどうでしょう。検索の言葉を決めるのは利用者であっても、仮にそのデータベースが利用できなければ、膨大な漢籍の中から用例を抽出することができるでしょうか。そして有意な用例の抽出抜きに有効な言葉の解釈を行うことができるでしょうか。量が質に転化する、という好例の一つではないかと僕は考えます。

またデータベース構築にかかる労力を考えるとき、参考文献に引用するということが先行研究の評価という側面もある以上、その労力を考慮しないわけにはいかないのではないでしょうか。特に中央研究院のデータベースのように無償公開されているものは特にそうです。データベースを何か新しいものとして見るだけでなく、既存の研究につらなるものとしても評価していくようにした方がよくはないでしょうか。気軽に利用してそれでおしまい、という感覚はあまりに安易です。

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2003.10.10

チャーリーズHEROは座頭市

たけしの『座頭市』見てきました。殺陣はここ最近見たアクション活劇ものの中でいちばんかっこよかったです。ただ、映像がかっこよすぎて、そのぶんベタなギャグが浮いてました。あんまり笑えなかったです。市の造型やストーリーももう少しベタにすれば、エンターテイメントとしての完成度は格段にあがったと思います。

その点では『HERO』は隅々まで狙い通りに作られていて、完成度としてはここで挙げる三作品の中でもっとも高評価です。が、これはこれで映像がきれいすぎて、アクション活劇として成立してくれてません。何のためのジェットリー主演なのだろうか、と思います。始皇帝を最後殺さないのはよしとしましょう。ですが、雑魚をばったばったとなぎ倒し、最後に大ボスをがつんとやっつけるのが、エンターテイメントとしての必要条件でしょう。方向性を間違っています。

ストーリーの内容に難があるものの、『チャーリーズエンジェルフルスロットル』は、よどみなくストーリーが流れていき、落ちるべきところで落ちてくれます。アクションも女の子(という歳ではないですが)が演ってるというだけで、僕としては評価3割増しです。何といってもおバカ映画ですし、いちばん楽しかったですね。活劇はかくあるべし。ただ映画としてのスケール観は『HERO』『座頭市』に及んでません。そこは監督の腕の差なんでしょうか。

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2003.10.09

Sapio増刊 まるごと一冊台湾を行く

別冊SAPIO 9月27号『まるごと一冊台湾を行く』はコンパクトによくまとまった台湾ガイドでオススメです。
せっかくだから旅行先の観光地の歴史ぐらいは知っておきたい、というのはごく一般的な需要でしょう。手軽な観光ガイドで、ここまで情報満載かつ分かり易くまとめてあるのは、ちょっとありません。
もちろん、SAPIOだけに右へのバイアスは存分にかかっていますが、そこはそれ、話半分に読んでおけばよいんです。政治的な争いはしたい人にまかせて、ツールとしての有用性は別の角度で計りましょう。

逆に政治信条を強固にもってる人は左右どちらでもいいんですが、中間層を引き寄せる呼び水になるようなプレゼンをもっと考えるべきでしょうね。その意味でも、この本はよくできてます。
ただ一つ気になったのは、SAPIOとしてはナショナリズムを標榜しているのに、台湾全図のところで、尖閣諸島が台湾の領土になっていたことです(そのように色塗りされていた)。制作したのが台湾側なのでしょう。まあ編集側は商売でナショナリズムを利用しているだけかもしれませんが、しかしちょっとお粗末ではないでしょうか。

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2003.10.08

中国哲学のための工具所サイト

中國思想研究者のためのインターネット資源簡介は、京大人文研の麥谷せんせいが作成されたリンク集で、日中英全般に目配りしてあります。精選されていて使い勝手がよいです。

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2003.10.07

山口県にムー帝国の遺跡が……

僕の郷里の山口県は史跡が多く、特に吉田松陰をはじめ幕末の志士たちで有名です。宮本武蔵vs佐々木小次郎の巌流島などもあって、史実から離れトンデモ指数をあがっていくと、楊貴妃の墓なんてのもあります。
ですが、まさかムー帝国の遺跡まであるとは!
といってもテーマパークです。謎の地底空間のテーマパーク 地底王国 美川ムーバレーなんての、あるんですねえ。
サイトの情報によれば、

ここは1万2千年前に消滅した「ムー大陸」の地下遺跡なのか?
目の前に突如現れる巨大な石像や地下神殿。
いまだに解読できない壁画の文字や石柱に刻まれたレリーフは一体何を意味するのか?
2003年7月12日、地底王国では不思議な古代文字が掘り込まれた
「モノリス」の発見により新たな謎が加わる。
「世界に旅立った7人の使者の行方を探せ・・・」と。

だそうで。RPGっぽく洞窟探検ができて、なかなか雰囲気もよいそうです。
しかし何故にいまさらムー帝国なんでしょう。モノリスなんでしょう。
企画した人、けっこうトンデモ好きなのでしょうか。どこまで本気か、気になります。

このネタ、弟夫婦が見つけてくれて、こんなの好きでしょ?と教えてくれました。感謝。

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2003.10.06

戦後日本における台湾関係文献目録

日本台湾学会文献目録で、戦後から現在までの、日本で公刊された台湾関係の文献を5,000点ちょっと検索できます。データは日本台湾学会が収集したもので、公開に際しては財団法人交流協会日台交流センターと協力しています。あ、僕の職場です。

データベース自体はNotes/Dominoを使っています。Ver.6は多言語対応が進んでいて、Unicodeもばっちり使えます。このデータベースはUTF-8でエンコーディングしてます。人名とかもこれで安心。しかしNotesはお手軽です。異体字やシソーラスで検索しようとすると別途アプリを開発しないといけないし、導入費用もお安くありません(トータルで500万は軽くいくんじゃないかしら。もっとかな)。ですが使いやすさというのは重要です。
学部単位で設置して、Webページから紀要やその他データまでNotesで一元管理してもらえば、ずいぶん気軽に研究成果を公開できるようになるのにな、と思います。誰もが日曜プログラマーみたくなることより、既製品を使えるよう努力する方がゴールは近いでしょう。

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2003.10.05

日本中国学会シンポ備考

日本中国学会第55回大会のシンポジウム「道教と中国文学」を聞いてきました。報告の御三人のうち、赤井せんせい、大木せんせいがこれまでの研究方法を踏襲されてるのに対し、土屋せんせいはそれを土台からひっくりかえすような方法を提示されていました。問題意識の落差が如実に出ている、と感じました。
コメンテーターの小南せんせいは、宗教と文学の問題を、神秘体験や宗教生活の文学活動への影響としてまとめられていました。


二階堂せんせいのコメント
明清期の文学において注目すべきは、西遊記と封神演義で、この二者は流行の結果逆に宗教の方へ逆に影響を与えることになった、というものでした。大木せんせいへのつっこみですね。
森せんせいのコメント
聖と俗の区別が道教において曖昧なのは、儀礼や制度の違いにある。キリスト教のような聖を一元管理する宗教では聖俗分明だけれども、道教や中国仏教は頓悟などの発想にもみえるよう分散されて管理伝承される傾向にあったので、区分が曖昧になる。だから土屋報告のように個別具体的に議論していくのが有効であるというものでした。無理目にまとめようとした小南せんせいへのつっこみだと受け取りました。

その他のやりとりは、ええと、なかったことにします。ははは。

以下、個人的に今後調べなくてはいけないことをメモしておきます。

1.土屋せんせいの報告
日月の精気を吸う修行法の説明に「明珠」が使われていたこと。
『~玉検五老宝経』
神塚論文、加藤論文を要参照?

2.大木せんせいの報告
明の道士張宇初は当時詩人としても有名。
※銭謙益『列朝詩集』閏集
張宇初は『度人経』の錬金術的解釈の系譜に連なる。
蜂屋邦夫せんせいの著作を要参照?

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2003.10.04

中国哲学と文化経済

大学研究において、自然科学、社会科学には予算を割くとしても、人文科学へはその意義を積極的に認めない時代になったようです。「初学の基礎は哲学にあり」と井上円了は言われましたが、哲学それ自体が現代では社会的な価値を大きく減じてしまいました。実際、思想の言葉として力を持っているのは、東浩紀さんが指摘してるように、哲学(現代思想)ではなく、社会科学(社会学、人類学、経済学など)の言葉だったりします、中国哲学はなおさらで、自らの学問の存亡の危機を憂いている学者も少なくありません。

まっとうな対処としては、中国哲学に現代的な価値を付与すべく、新たな方法を模索するということになるでしょう。たとえば、地域研究として今後ますます重要な隣国になる中国への理解を深めることのメリットを強調する、といったような。
ただここで考えてみたらどうかと思うのは、最近流行している文化経済の視点から中国哲学を価値づけるというやり方です。この立場からプレゼンすれば、古典研究、文献研究自体が価値を持ち得ます。そうなると期せずして、伝統文化としての漢学の継承という発想が、かえって意義をもつようになるかもしれません。
文化経済学入門-創造性の探求から都市再生まで』あたりでちょっと勉強してみようかと思っています。

東さんの指摘、というより嘆き、は集英社新書の笠井潔さんとの書簡集『動物化する世界の中で―全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評』の中で言われたことです。議論は公平に見て、笠井さんの方が筋が通っていると思います。僕は古典研究をやってるので、余計にそう思うのでしょう。ただ気持ち的には東さんに共感してしまいます。世代の差なのかしら。

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2003.10.03

論文作法を考える

一橋大学図書館の「参照文献の書き方」は簡便にまとまっていて、論文を書くときに参考になります。確かに内容が第一ですけど、参照文献をどう書くか、注をどうつけるか、とか基本的な書き方の作法は重要でしょう。
とはいえ、そのへんほとんどフリーダムなのが、人文学の世界、少なくとも中国哲学はそう、でした。ただ今後ネットでの研究成果の公開などが問われるようになってくると、この作法の不統一というのは問題になってくるでしょう。単に紙媒体上の表記上の統一だけでなく、電子化したときの構造上の統一も図る必要が出てきます。

国立情報学研究所では、学術論文DTDを作成するなど、こうした試みに取り組んでくれています。公開してくれてないですけど(学問の理想と矛盾してますね~)。
できればこういったリソースを利用して、日本中国学会が学会標準を決め、各大学の研究室・研究会もそれに協力していくのが理想なんですが。作法の部分で争う必要はないと思うんです。
それで論文をWebで公開するようになれば、自然と論文データベースができあがって、後世に益するところ大、だと思うのですけど。

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2003.10.02

Chinese on sigmarionIII

キーボードがついていて、気軽に文章を打てるということで、前はジョルナダ720を愛用していましたが、最近シグマリオン3に乗り換えました。で、とりあえず中国語の表示はできるようになりました。

WindowsCEには台湾や香港のいくつかの会社が中文化(中国語の表示と入力どちらもできる)のソフトを販売していますが、ジョディのときは、それらソフトを導入すると逆に日本語が化けたり、そこを乗り越えても、今度はWebページの表示がうまくいかなくなったりとたいへんでした。
シグ3はさすがに多言語を前提としたCE.NETベースだけあって、二手間くらいで表示に関してはまるで問題がなくなりました。
あとは入力をどうするか、です。AtokがUnicodeに対応してくれてれば、中国語辞書を持ってくるだけでよかったんですが、さてどうしましょう。
中国語表示の方法ですが、 Windowsディレクトリにあるwince.nlsを多言語使用のものに差し替え、中国語フォントを同ディレクトリに追加するだけ、です。レジストリの書き換え等は必要ありません。

WindowsCE FANの掲示板でも成功した人が出てますね。CE-Starを使われたようです。

本当は、マイクロソフトが提供するPlatformBuilderを利用して、多言語版wince.nlsを抽出、ついでに中文IMも、と考えていましたが、使い方が分からず惨敗状態です。参考書を探して、もう少し時間があるときに再挑戦してみます。

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2003.10.01

中国のマザーグース

斗酒庵茶房のご主人、斗酒庵主人さんは、日本における中国のマザーグース研究の第一人者(他にいないから、と本人談)なのです。僕の大学の尊敬する先輩の一人です。
斗酒庵主人さんは、ロビン・ギルさんとの共著で『19世紀のアメリカ人が集めた中国のマザーグース』を出版されてますが、このサイトで、最新版を公開してます。
他にも充実したコンテンツがあります。イラストも素敵。

おっと、斗酒庵主人さんは、大修館書店の雑誌『月刊しにか』で、“固ゆで論語”を連載されてます。これもおもしろいですよ。「子曰く」を「俺は言った」に置き換えて、トレンチコートの孔子は今日も行くのでありました。

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