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2004.11.27

台湾における日本漢文学研究の現状と課題

二松学舎大学のCOEプログラムの公開講演会に行ってきました。講演者の台湾大学の徐興慶さんには、仕事でお世話になってるし、講演内容にも興味があったもので。
講演内容は、漢学研究中心と中研院の文哲所と台湾大学の東亜文明研究プロジェクトの経緯と業績の紹介でした。台湾大のプロジェクトは台湾初の人文社会学系COEプロジェクトだそうで、方針としてはプロジェクトリーダーの黄俊傑さんの立場が強く反映されているのか、儒学の現代化や思想史としての儒学研究が強く意識されているようです。このあたり必ずしも台湾の学界の主流ではないはずですが、日本に比べて乖離しているわけでもない、と思われます。

徐さんの提言は、日本での中国学研究に対しても言える課題で、いろいろと考えなくてはいけないかと思います。特に興味深いトピックは、
・儒学キャンプの実施
・日本漢学に明治以降の漢学者を含める点
でした。どちらも現代を生きる学者としての「当事者意識」が感じられます。
まず前者については、一般や大学生向けに泊まり込みで、専門的でない儒学の講義を行うという企画です。何と費用は主催者側持ち。これ盛況だったそうです。日本の大学ではエクステンションセンター(生涯学習センター)でこれに相当することをやっているとは思いますが、しかし研究プロジェクトの中に位置づけてやっているものはたぶんないんじゃないかと思います。公開講座やシンポジウムよりももっと身近な立ち位置で行うというのは、哲学の実践としては理想的でないかと。

後者については、ディシプリンとして、僕たち現代の中国学者を江戸漢学から連続している学問伝統の後裔にあると位置づけていることに意味があります。これは彼ら自身が経学を継承する学者であることをどこかで自覚していることの裏返しではないかと思われます。さすが「伝統の創造」を自覚して行っている訳で、僕自身はこうした姿勢を最近特に重要だと思っています。なぜなら僕たちが近代学術しかしなかったら、漢学の学問伝統は絶えてしまうのではないでしょうか。もちろん、伝統芸能よろしく専門家たちの外で継承されていくことはあるでしょう(本来「芸」であったという話もできるし)。しかし「知」に関わる伝統を自ら切り離して論じる学者って、どうにもいびつに思えます。また無自覚に先学の反復をしているだけでは縮小再生産になって遠からず消滅してしまうでしょうから、あくまで自覚的に伝統を「創造」していく必要があると考えます。うーん、難しい。

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