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2005.03.09

電子ブックをめぐる状況

国文学研究資料館の「日本の古典標記構造と検索をめぐる研究会ミニシンポジウム」で、人文学で電子ブックを利用できるかという問題意識で発表させていただきました。レジュメはそのうち公開します。要点は、人文学者の立ち位置として、

本を手にとって学ぶことを勧める教育活動が大切なのは当然だが、社会の情報化は避けようがない以上、データベースの構築などの情報化電子化は、単に研究のためのものだけではなく、より広く研究成果が利用されることを通じ、人文学のプレゼンスを高めるためのメディアとして位置付けていくべきではないだろうか。ワンリソースマルチユースが電子化のメリットである。学術研究に資するだけでなく、一般利用にも供することを想定した計画が望まれる。

といったようなことです。

まあ電子ブックが出版文化としてどう定着するかという問題はありますけども。しかし、こちらから能動的に学術研究における電子ブック出版文化というものを研究者たちで作ったっていいわけで。

受けた質問の中で、はっと胸をつかれたのが、「そうした試みは必要だろうが、さりとて単に研究成果の類をそのまま電子化しても広く受け入れられるのだろうか。そこにはもう一つしかけがいるんじゃないのか」といった指摘でした。そうなんです、そこは情報化の技術の問題ではなく、業界自身が元から抱えている問題だと僕は考えます。外部においてはすでにアプリオリに認められていない文学の権威をいまだ当然のごとくあると幻想を抱いている(人が実はけっこういるようである)ことが問題な訳ですが。。。

もろさんの言う人文工学の可能性に関する、僕なりのアプローチということになるんでしょうか。「「世俗」化の道具」としての情報化といったところです。プログラミングのような情報処理が出来ない研究者(僕は勉強したいけどその時間がなかなかとれてない、と言い訳しておこう)でも、情報化はやれるしやらんといかんのだよ的な議論を目指していたりするのです。志は低いかもしれんけど、現実的な道筋ではないかと。伝統的な人文学に対するファン心理、なのかもしれない。

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