« やっぱり貸本形式はしんどいか? | トップページ | ecute品川いろいろ »

2006.04.03

歴史学者のロールモデルとしての『ワンピース』

マンガで、しかも少年マンガで、これほど学者が、それも文系の学者が、かっこよく描かれたことがあったでしょうか?そう、『ONE PIECE』41巻です。主要メンバーの一人ニコ・ロビンが考古学者(しかもきれいな年上の姐さんですよ、あなた。いや少年マンガ読むときは魂は少年ですから!)というのも、友情・努力・勝利のジャンプマンガの王道をいってる作品の登場人物として希有なのですが、この巻ではその壮絶な過去が明かされます。この過去のエピソードが、研究者的にはぐっとくるものがあります。

ロビンは幼少時代、故郷オハラで考古学者グループの中で英才教育を受けて育つも、その研究者グループたちは、時の政府、権力者たちによって隠蔽された彼らにとって都合の悪い歴史の真実にたどり着こうとしていたために、政府の手の者たちによって罪を着せられてしまいます。そして考古学者たちはその研究ごと焼き討ちにされ、少しでも次代に本を残そうを涙ぐましい努力するも、結局皆殺しにされてしまうのでした。ロビンはたった一人の生き残りの学者として歴史の真実を求めて旅立ったというわけなのです。

いやー、かっこいい。泣ける。学者の理想像をすごく分かりやすくかつかっこよく描いているのは、同じ業界にいる者としてうれしい限りです。
とはいえ、オハラの学者さんたちをかっこいいと思いつつも、一方でうさんくささを感じてしまったりするわけです。
だって、そのかっこよさはこうした善悪がはっきりした(つまり主人公vsその敵という構図が明らかな)お話の世界だからこそ、生きるのです。そんなに白黒はっきりしないこの現実では、そうしたかっこよさを追求すると、しばしば独善的になり、かえって問題を増幅させる可能性があります。昔も今もそうした困った学者さんはいますよね。

そうそう、ここでの考古学者は、ほとんど歴史学者と読み替えても全く差し支え有りません。語られぬ歴史を見つけ出す研究はわりあい最近のトレンドですけども、権力者の横暴にその学問をもって抵抗するというのは、中国の伝統的な歴史学者の理想像でもあります。

|

« やっぱり貸本形式はしんどいか? | トップページ | ecute品川いろいろ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2086/9452465

この記事へのトラックバック一覧です: 歴史学者のロールモデルとしての『ワンピース』:

« やっぱり貸本形式はしんどいか? | トップページ | ecute品川いろいろ »